砥部焼 梅山窯

かたち、文様、手しごと
砥部焼の伝統を守り抜く

写真:玉淵鉢

梅山窯の歴史

砥部焼の歴史は古く、安永4年(1775年)に磁器の製造がはじまりました。梅山窯は、明治15年(1882年)に梅野政五郎に開窯し、日本国内はもちろん海外、特に東南アジア・インド・アメリカへの貿易により、発展してきました。太平洋戦争後の復興のため、昭和28年〜34年(1953年〜1959年)、梅野武之助が、民藝運動提唱者の柳宗悦、浜田庄司、富本憲吉、鈴木繁男、藤本能道先生のご指導を受け、澤田じゅん:牛偏に享、岩橋節夫、工藤省治等により、試行錯誤を重ねることで、梅山窯の手作り手書きによる独自の技術技法を完成させました。現代も、「用と美」を追求し、実用工芸品の制作をしています。

写真:玉淵鉢を重ねた写真、和食に器を使った写真 写真:玉淵鉢を重ねた写真、和食に器を使った写真

しっかりはたらく丈夫なかたち

砥部焼独自とも言えるぽってりとした厚みのあるかたちは、丈夫さの象徴です。少しくらい手荒く扱っても割れにくく、もちろん食洗機でも使え、熱に強いため電子レンジでも加熱できます。器自体は熱が伝わりにくく、持っても熱くないのに料理が冷めにくいという特長も合わせ持っています。

梅山窯の器
写真:手書きの違い

素朴な手描きのうつくしさ

唐草、太陽、なずな、赤線三つ葉、呉須赤菊など、梅山窯オリジナルの文様は、すべて自然をモチーフにしたもの。シンプルでありながら奥深いこれらの文様は、つけたての一筆書き(梅山様式)という独自の技法でひとつひとつ手で描かれているので、それぞれの表情を楽しむことができます。

砥部焼の製造工程
写真:洋食に器を使った写真

ふだんに生きる器をつくる

暮らしに寄り添った“かたち”、自然を感じられる“文様”、素朴で美しい“手しごと”。先達と築きあげてきたそれらの伝統を、誠実に、大切に、守り続けているのが梅山窯のこだわり。変わりゆく時代の中、生活に根ざした健全な美しさ「用と美」をコンセプトに、使う人の気持ちに寄り添ったうつわを作り続けています。

製造工程

  • 写真:製造工程 工場の様子
  • 写真:製造工程 工場の様子
  • 写真:製造工程 工場の様子
  • 写真:製造工程 工場の様子
  • 写真:製造工程 工場の様子

製造工程

梅山窯の砥部焼ができるまで

写真:陶石
1

陶石、陶石採掘

採掘された磁器の原料となる陶石を、専用の機械で粉末にします。

写真:製土、土作り
2

製土、土作り

粉末にした陶石に水を加え、十分にかき混ぜます。不純物を取り除き水を切り、専用の機械を使って空気を抜いて土を作ります。

写真:手造り
3

手造り

円形のものはろくろに土をのせ回転させて形を作り、角型のものなどは鋳込み型(いこみがた)と呼ばれる型に土を流し込んで形を作ります。

写真:削り、仕上げ
4

削り、仕上げ

ろくろや鋳込み型から外し、余分なところを削っていきます。取っ手をつける器は、ここでつけます。

写真:乾燥
5

乾燥

仕上げが終わると、ひとつひとつ板の上に並べ、自然乾燥で2〜3日ほど乾燥させ、強度を与えます。

写真:素焼き
6

素焼き

乾燥させた器を並べて重ねたものを、940度で22.5時間、素焼き専用の窯で素焼きを行います。

写真:削り、仕上げ
7

下絵

コバルト化合物などを独自の割合で調合した呉須(ごす)という顔料を使います。ひとつひとつ職人の手により、つけたての一筆書き(梅山様式)で描かれます。

写真:乾燥
8

釉掛け

網と細長い棒を使って、釉薬(ゆうやく)をかけます。釉薬をかけて焼くと、つるつるした光沢のある表面となります。

写真:素焼き
9

本焼き

余分な釉薬をヘラやスポンジでふきとり、1235度で約22時間焼きます。藍色の文様のみの製品はこれで完成です。

写真:削り、仕上げ
10

上絵付

赤黄緑などを使う絵は、本焼きを終えた器のさらに上から描きます。

写真:乾燥
11

焼成

上絵付をしたものは、さらに焼成用の窯に入れ770度で7時間ほど焼きます。

写真:素焼き
12

製品

色つきの文様の製品は、これで完成となります。